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1−25.パラドックス


 間違った推論でありながら、いかにも正しそうに見えるものをいう。(その逆に、どう考えても正論とは思えないもので、実は本当だという場合もパラドックスと呼ぶ場合がある。)

 古典的なものにゼノンのパラドックスがある。その中でも特に有名なのが「アキレスとカメ」である。カメと駿足で知られたアキレスがかけっこをして、カメが先にスタートしたとすると、アキレスはカメに追いつくことはできない。なぜなら、アキレスがカメのもといた位置に達すると、カメはそれより先へ行っている。アキレスがまたその位置まで到達すると、カメはさらにその先へ行っている。このようにして、アキレスはいつまでたってもカメに追いつくことはできないというのである。


8×8 = 64

[1]図形のパラドックス


5×13 = 65

 図形のパラドックスで比較的よく知られているのが[1]である。これは『不思議な国のアリス』等の著書で有名なルイス・キャロルが創案したとも、21で紹介したサム・ロイドの作だとも言われている。1辺が8の正方形がある。当然面積は64である。ところがそれを4つの片に分けて、組み直すと縦が5で横が13の長方形になるが、その面積はなんと65である。つまり、64 = 65 となってしまう。

[2] [1]の種明かし

 このトリックは、[1]をいくら見つめていてもわからないが、方眼紙に正確に図を描いてみるか、長方形の対角線が縦線と交わる点の位置を計算するかしてみれば、たちどころに判明する。図を極端に描いてみると[2]のようになり、隙間の部分がちょうどます目1個分になるのである。

[3]数式のパラドックス

a = b ならば a = 0 である。

[証明]

ab =
ab - b2 =
b (a - b) =
b =
∴  a =
 a2
 a2 - b2
 (a + b) (a - b)
 a + b
 0

 数式のパラドックスは、してはいけない計算を行ったり、定理や公式などを適用する際の条件を考慮に入れなかったりするものが多い。[3]はその一例であるが、こうした矛盾の起きたのは、両辺を(a−b)つまり0で割ったことに原因がある。

 最初にカッコ内で示したようなパラドックスの一例に、契約金の問題がある。次はA社とB社の契約条件である。

  • A社…年額200万円で、毎年40万円増加。一年払い。
  • B社…年額200万円で、半年ごとに10万円増加。半年払い。

 これはどう見てもA社の方が条件がいいように思えるが、実は違う。[4]の比較表を見てほしい。B社の方が年に10万円ずつ多いことがわかると思う。

[4]契約金の比較表
 A社B社
初年度200万円前期100万円
後期110万円
計210万円
2年目240万円前期120万円
後期130万円
計250万円
3年目280万円前期140万円
後期150万円
計290万円
4年目320万円前期160万円
後期170万円
計330万円

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第1部:|1.迷路|2.リンドパピルス|3.魔方陣|4.知恵の輪|5.まま子立て|6.渡船|7.油分け算|
|8.盗人隠|9.さっさ立て|10.薬師算|11.碁石拾|12.おしどり|13.一小刀|14.ねずみ算|
|15.知恵板|16.虫食算|17.目付字|18.橋渡り|19.ソリテア|20.ハノイ|21.デュードニー|
|22.サム・ロイド|23.移動板|24.消滅|25.パラドックス|26.四色|27.チェス|28.にせ金|


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